☆の備忘録

完全耳コピ

薔薇と白鳥 マーロウセリフ①

.
.
(知ってるでしょ?
あの人、悪口と減らず口と罵詈雑言なら朝までどころか3日間は言い続けられることのできる才能の持ち主よ?
おまけに訴訟沙汰は平気だし、牢獄行きもなんとも思ってないし、近頃はすぐ決闘を申し込む癖がある。)
.

.

.
そのつもりだったのに、くそっ!
まさかあいつらロンドンまで追っかけて来やがるとは。

ん?だれか来てた?獣くさい
くそっ!
金だ、金を探してる
誰のだっていい、とにかく金だ
20ポンド
だよなぁ。まずい、金がないと殺される。

冗談じゃない、あいつら頭狂ってる。
もっとまともな連中かと思ってたのに。

誰だ?
なんか、嫌な予感がする。
出なくていい。
ネッド?なんでネッドがここに?
賛成。

 

どうされました?ロンドンには旅行か何かで?


大嘘?誰が?いつ?

まぁ、待てよ。これはいわゆるだな
クーリングオフだ。
それはまた別の話。
いいか?機械の性能のテスト期間って訳さ。
あぁ、すぐに偽金だとバレるような機械は買えない。だからまずはあんたらにテストしてみた、あんたらすっかり騙された、テストは合格だ。今こそ代金を支払おうじゃないか。


あぁ、今すぐって訳にはいかないが、そうだな、週末までには。
わかった、明日の昼だな、用意しておこう。

俺を誰だと思ってる!
ロンドン演劇界で飛ぶ鳥を落とす勢いのクリストファーマーロウだぞ。
そこにいるネッドの芝居もほとんど俺が書いた。
東大一の売れっ子だ、この俺が約束している。間違いなんてあると思うか?
じゃぁ、明日を楽しみに待っててくれ。

あぁー!まずい!やばい!どうしよう。
あいつら頭おかしいから本当に殺されかねない。


頼む。ネッド、貸してくれ、すぐ返すから。
もちろん。

…まさか。
おい、人の命がかかってるんだぞ。
なんだあいつ!

で、ネッドはなんでここにいたんだ?
この部屋にきたことあるのか?


さぁ、面白そうだったから?
さぁ、何をしでかしてやろうか、そのうち思いつくさ。芝居のセリフと同じ。まずはここに眠らせておく。そうすればそのうち…
それはそれでいいかもな。
こうなったら、奴を頼るしかない。
あぁ、フライザーさ。それしか考えられない。
じゃぁ、どっちにしたって殺されるわけだ。


いや、それはやめておく。
なんか、おもしろくなさそうだし。
.
だから言ってるだろ!
おもしろさっていうのは説明を聞いて理解するもんじゃない、感じるもんなんだ。ヘンズロウ、お前にもハートはあるだろ?血は流れてるんだろ?だったら感じられるはずだ、感じてくれよ、ここで。
じゃぁ病気だ、医者に診てもらえ。

命より金が大事だっていうのか?

金に?

なぁヘンズロウ、この1ヶ月で1番入りがいい芝居はなんだ?
誰が書いた?
その次に入りがいい芝居はなんだ?
誰が書いた?
つまり、俺の台本はお前をとても儲けさせている、違うか?
お前の儲けにこれほど貢献してる俺にさ、少しくらい融資してくれたっていいだろ?
それじゃぁ、間に合わないんだよ、前借りさせてくれ。

他に誰がいる?

だから、それはいつか。
人の著作物を勝手に売り買いしやがって。
そもそもそれがおかしな話で。


そんなん、誰かに任せろよ。第一、劇場主の仕事じゃないだろ?


知らん。
(この大根役者の下手くそめ!それなら牛か豚に芝居させた方がマシだ。役者なんか辞めちまえ!荷物まとめてさっさと田舎に帰れ!)なんだよ急に。
あぁ、それで辞めたのか。ばかめ、
あいつは比喩ってものを知らなすぎる。別に焦ってなんか。

他の連中と一緒にしないでくれ。つまらん台本を量産したくないんだ。
おい待てよ、詩を書くっていうのはそもそも働くとかそういう概念では。

 

伝言?いい話か?
え、誰だって?
ストレインジ卿劇団。ストレインジ卿が?この俺に?おい、それをなぜ早く言わない!
よしよしよし、これは絶対いい話だ。なにしろ劇団のパトロンが屋敷までわざわざ呼びつけるんだからな。よし、昼にはまだ時間がある。よし!
.
え?だけどさぁ。
なんだ、直接会ってくれるんじゃないんだ。
噂って?

それは物騒だな。
流血が大嫌い。だからカトリックの国、スペインとの戦争にも反対。

そこで?


なるほど。エリザベス一世はとんでもない芝居好きだ。その芝居でおべっかを使って取り出そうって腹か。
あぁ失礼。つい口が。


この俺に執筆依頼を?
別の詩人?誰だ、ジョージピールか?ん?トーマスキッド?まさかロバートグリーン?


新人?
あぁ、ヘンズロウが言ってた、でも役者なんだろ?
それなりって?

20ポンド!?!
引き受けよう。
新人の監督、指導の件、確かにこのマーロウが承る。
え?いろんな意味って?
物は相談なんだけどさ、この仕事、前借りってわけには?いやね、田舎のお袋が急に倒れて。
そこをなんとかさ。
無事に?何事もなく?
なんだよ、もしものことって。
わかったよ。
.
なぁ、ジョーン、どう思う?
だからさ、あの言い方だと、まるで俺が新人のボディガードまでしろってことになるじゃないか。
だってそうだろ?もしものことが無いように。って、そう言うんだから。
逆?(いつも無事に済むことなく何事かを起こすのは誰?)
誰だ?(あんたでしょう?
居酒屋で酔っ払って喧嘩ふっかけるのは誰?
役人に暴力振るって訴訟沙汰になるのは誰?

殺人事件絡みで投獄されるのは誰?
芝居の本番中に決闘を始めるのは誰?)
全部俺のような気がする。


そういうことか?
でもさ、なんか嫌な予感がするんだよ。
それは褒めすぎだ。
嫉妬?俺が?おい、ふざけんなよ。

ただ訳が分からないだけさ。やつは一体何者なのか。どうやってストレインジ卿の信頼を得たのか。

 

いや、書き上がらないと金にならない。それじゃぁ遅すぎる。いくらやばくてもあいつは金払いがいい。
フライザー?

そんなんじゃない。
あんたにだけは言いたくない
あぁわかったよ。プライド傷つくな!
俺は今、あいつの部屋に転がり込んでる身なんだよ。
悪いか。

(なぜまた仕事をする気になった?)
(金か?)もちろん。
(いくらいる?)20
(明日中に用意しよう)今すぐなんとかならない?
(無理だな)でないと殺されるんだよ
(我慢しろ)あのさぁそれって我慢とかでるような…
無茶言うなよ。
(じゃぁこの話はなかったことに)金は明日でいい
(お前の仕事は2つある)ふたつ?
(1つにつき10ポンドだ)なるほど。
(ひとつはストレインジ卿のこと)え?

よくご存知で
ふーん。そうなのー。
たぶん、でもなんでそんなこと?
へぇ、ストイックだねぇ。
別に舐めてなんか。

こわ、、、。

了解。
.
やめろ、俺を先生と呼ぶな。
黙れ、先生と呼ばれた日には人間おしまいだ。
絶対に呼ぶな。
名前を呼べばいい。
馬鹿野郎、馴れ馴れしいぞ、マーロウさんと呼べ、マーロウさんと。

それでいい。


なんでお前をさん付けで呼ばないといけない。
で、今までどんな本を書いたんだ?手元に台本があるなら見せてみな。
じゃぁ口立てていいから説明してみろ。
なんだ?
じゃぁなんでお前が書くことになった?
誰に?まさかストレインジ卿本人に?
どういう関係なんだ?
それにしてもだ、初対面の人間にしかも劇団のパトロンの貴族を前にして芝居を一度も書いたことのないお前が、書ける。と断言したのか?


どういう神経してるんだ?
ストレインジ卿もよくそれで納得したもんだ。

なぜ俺の名前を勝手に使う?
それはまぁ、そうなんだけど。
やめろ、奴の名前は口にするな。絶交したんだ。
お前な、なぜそんなに書きたいんだ?
何がお前をそうさせる。
お前、ちなみにこの仕事でいくらもらえるんだ?

本当に?事前に金額は聞いてないのか?
ま、そのへんやっぱり新人だな。
お前が言うな!

で、題材は決めてあるのか?
ちょっと待て、スタンリーさんてまさか…
おい!貴族をさん付けで呼ぶな!
お前やっぱりどういう関係なんだ?
もういい。
で、そのストレインジ卿と相談して決めた題材ってのは?


は??
耳元で喚くな!聞こえなかったわけじゃない!
ヘンリー6世だと?
どうしようもない王だぞ。イングランド史上歴代ワースト2位だ。まぁその下にエドワード2世ってのがいるが、それに次いでダメな王様だ。
そんな王を主人公にしてどうする。
女王陛下の前で上演するんだぞ?
そもそもヘンリー6世ってのは、いまのエリザベス一世の曾祖父にあたる…って、お前大学で歴史の勉強してないのか?
は?大学を出てない?
これ、全部読んだのか?
なんで読みもしないのに関係のあるところがわかる?
わかった、もういい、お前俺を馬鹿にしてるんだろ。
尊敬?
悪いことは言わない、題材を変えろ。ヘンリー6世じゃダメだ。
またスタンリーさんか。そんなに仲良しならそのスタンリーさんに台本の書き方を教えてもらえ。
何がおかしい?
教えられるはずがないのは俺だって同じだ。
いいか?台本なんて書き方を習うもんじゃない、盗むもんなんだ。
ここに俺が書いた台本がある。これを読んで盗め。
このご時世、役者に完璧な台本なんぞ渡そうもんならどこに売り飛ばされるかわかったもんじゃない。だから台本はこうやって金庫の中に厳重にしまってあるんだ。


あぁ、盗めるもんなら盗んでみろ。
大きな声で言うな、投獄されても知らんぞ。